回復力
- 作者: 畑村洋太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 新書
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失敗学の提唱者、畑村 洋太郎氏の失敗からの回復について。
畑村洋太郎氏の本はどれも好き。著者の本を読んでいると、自分の分野である失敗学から枝を伸ばすかのように、他の分野に考えを広げているように思えるから。この姿勢は謙虚さや洞察力が無ければ出来ないこと。
この本も失敗学から見たうつ病について書かれている。失敗をして、人が落ち込んでいる状態を「エネルギーが漏れている」状態と独特な表現をしているものの、その場合の考え方、そういった人の接し方は、心療内科のプロの本に書かれているところまで自分の考えでたどり着いている。
失敗学についても、個人が責任を認めた場合に真偽関係なく、真実として扱われ、時に個人の責任問題として押し付けられることをきちんと指摘。被害最小の原理から、時に失敗をかくすことも必要と、著者の人柄の表れ、かつ論理だった意見にほっとする。この二つが両立している意見というのも珍しい。
失敗学の新たな一面が見られる。良書。