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平気で嘘をつく人たち

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

著者の診断経験からの人の邪悪性についての考察。特徴はどの例も、フィクションとノンフィクションの間のような独特の嫌悪感を持つようなエピソード。


兄が1年半前に二二口径ライフルで自殺した少年が、盗んだ車を運転して衝突事故を起こす。その後、抑うつ状態と診断され精神科医の診察を受ける。少年は絶望的な顔。精神科医が去年のクリスマスに親からもらったプレゼントを何気なく聞く。

「クリスマスはついこのあいだのことだったように思えるけれど、クリスマスはどんな贈り物をもらった?」


「たいしたものじゃありません」


「お父さんやお母さんから贈り物をもらったと思うけど、どんな贈り物だった?」


「銃」


「銃?」


「ええ」


「どういう銃?」


「二二口径」


「二二口径のピストル?」


「いいえ、二二口径のライフルです」


(中略)


「どんな気持ちがした?兄さんが持っていたのと同じ種類の銃をもらって」


「同じ種類のじゃありません」


「ごめん。同じ種類の銃かと思ったもんでね」


「同じ種類の銃じゃありません」


「あの銃です」


「あの銃?」


「ええ」


「つまり兄さんの銃?」


「ええ」

読んでいて、あまりの生々しさにゾッとした。下手な短編より面白い。

そしてこのわかりやすい邪悪性を分析を読んでいくと、自分や身の回りに落とし込まれていく。邪悪な人とは、自分の意志を死守し、そのためには他人を攻撃や否定をし、時には相手を政治的に支配しようとする考えをもつ人とこの本では述べている。つまり本のタイトルどおり彼らは嘘つきなのだ。

例に親子関係が多く、少し心理学の本として知識が古い気がするものの、この本に書かれている邪悪な人の考察は正しいように思える。そんな人と向かいあうときに混乱しないように。そして、そんな人に誠実に接せられる人になれれば。

【メモ】
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