境界性パーソナリティ障害
- 作者: 岡田尊司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/05/27
- メディア: 新書
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これからこの新書をベタ褒めしてみる。
境界性パーソナリティの症状は、普段は問題ないのに些細な出来事で人を怒ったり不可解な言動を繰り返す。一般的な診断基準では、以下9項目のうち5つ以上を満たすこととなっている。
1. 見捨てられ不安
境界性人格障害 Wikipedia
2. 理想化とこき下ろしに特徴づけられる不安定な対人関係
3. 同一性の障害
4. 衝動性
5. 自殺企図
6. 感情不安定
7. 慢性的な空虚感
8. 怒りの制御の困難
9. 一過性の妄想様観念/解離
この本では、この病気の何が問題であり、または何が原因であり、そしてそれを解決していくにはどうすればいいかをわかりやすく解説している。
著者が小説家としても活動しているせいか、読みやすい上に構成が上手い。
まずわかりやすい症例をあげて、境界性パーソナリティ障害とは何かを説明。ここで凄いのが、症状にかかった人のことではなく、症状にかかった人に巻き込まれる例を最初にあげているところ。自分が注意を向けずにいられなかったり、保護本能をくすぐられて親密になったら、相手が境界性パーソナリティの兆候があり、次第に関係がギクシャクしていくという例えが、妙にリアリティがある。
その後に、不可思議な行動をする心理について丁寧に解説をして、その原因についても言及。そして第三者としてどう患者と向き合ったら良いかを検討し、最後にこの病気は回復できるものであり、それまで精神的な苦痛となっていたものが、生きる意味と価値を与えてくれることになることまで示唆してくれる。
書いてあることは、正直特別ではないし、完全な原因追及主義は他のうつ病の治療と比べて差分があって、自分にはこの治療法の考えが正しいのか判断がつかないので、もうちょっと調べなきゃと思っているけれど、境界性パーソナリティ障害を世間に伝えるという意味では、この新書は完璧だと思う。